手足口病・ヘルパンギーナ

手足口病

口腔粘膜と四肢末端に水疱性発疹を生じる病気です。毎年のように特に子どもたち(主に幼児)の間で流行しますが、年によってその規模は異なります。最近の日本では、1985 年、1990 年、1995 年、2000 年、2003 年、2011 年、とほぼ5 年前後の周期で比較的大きな流行がおきています。2011 年の流行は規模が大きく、成人の方も多く罹りました。

手足口病と下記のヘルパンギーナは夏風邪の二大代表選手です。

病原体:主としてコクサッキーウイルス A16 型とエンテロウイルス71 型、その他、コクサッキーA6A10 型など。

潜伏期間 3-6

感染経路(発生時期):糞口(経口)感染、飛沫感染、接触感染。流行のピークは夏季です。

感染期間:ウイルスは咳や鼻汁から 1-2 週間、便からは数週-数か月間、排出される。

症状:発熱と、口腔・咽頭粘膜に痛みを伴う水疱ができ、唾液が増え、手・足末端や臀部に水疱がみられるのが特徴です。ウイルスの型によって、水泡の出現部位や大きさが典型的でなかったり、水疱の見た目が特に初期の頃は水痘と紛らわしいことや、治った後に爪が剥げ落ちることもあります。発熱はあまり高くはならないことが多く、ふつう1-3 日で解熱します。口の中の痛みのため水分や食事の摂取が不十分になり、低血糖や脱水になるかもしれないことが問題となります。

ごく稀に、髄膜炎、さらに稀ですが脳炎や急性の麻痺などの神経合併症を引き起こすことがあります。特に「エンテロウイルス71型」というウイルスで起きやすいことが報告されています。元来、夏風邪の原因となるウイルス(エンテロウイルス属)は髄膜炎の原因になりやすいことが大きな特徴の一つです。

好発年齢 乳幼児

診断法:臨床症状から診断します。周囲での流行状況が重要な参考になります。

治療法:原因ウイルスに直接作用する治療薬はなく、対症療法が行われます。口の中が痛いときには、硬いもの、沁みるものは避け、柔らかく飲み込みやすい、栄養価の高いものを与えましょう。それでもどうしても飲んだり食べたりができなければ、外来や入院での点滴が必要になります。

予防法 糞口(経口)感染、飛沫感染、接触感染として、一般的な予防方法を励行します。

登校(園)基準:便の中には数か月に渡ってウイルスが排出されるので、流行の阻止を狙っての登園停止の措置は非現実的です。本人の全身状態が安定している場合、つまり、熱が下がり、いつも通りの食欲や元気が回復していれば、発疹が残っていても登校(園)可能です(厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、解熱後1 日以上経過すること、との記載があります)。ただし、手洗い、特に排便後の手洗いは十分に行うようにしましょう。

 

ヘルパンギーナ

主として咽頭、口腔内粘膜に水痘、潰瘍を形成するのが特徴の病気です。しばしば高熱も伴い、数日間続くこともあります。乳幼児に多く見られます。春季から夏季に多く発生し、流行のピークは7 月頃です。手足口病と同じく、規模は違えど毎年必ず流行します。

病原体:主としてコクサッキーA 群ウイルス

潜伏期間3-6

感染期間:ウイルスは咳や鼻汁から 1-2 週間、便からは数週-数か月間、排出されます。

感染経路:糞口(経口)感染、飛沫感染、接触感染。

症状:突然の発熱(39℃以上)と咽頭痛で始まります。咽頭に赤い発疹がみられ、次に水疱となり、間もなく潰瘍となります。沁みて痛がることが多いです。

好発年齢 4歳以下の乳幼児に多くみられます。原因となる病原ウイルスが複数あるため、1年のうちの異なる時期や、翌年など、何回もかかかることもあります。

診断法 臨床症状によりなされます。周囲での流行状況が重要な参考になります。

治療法 手足口病と同じく、対症療法が行われます。口内痛のために十分な水分・食事が摂れなくなるかもしれません。家庭での看病では与える飲み物、食べ物に工夫が必要です。口からの摂取が不十分になれば脱水の治療のため点滴が必要になることもあります。

予防法 飛沫感染、接触感染として一般の予防方法を励行します。

    登校(園)基準:手足口病と同じです。熱が下がり、食欲や元気が回復していれば、口の中に口内炎が残っていて  

    も登園できます。手洗いが重要なのも同じです。