髄膜炎菌性髄膜炎

「髄膜炎菌」という細菌による髄膜炎です。症状は他の病原体での髄膜炎と同様で、発熱、頭痛、嘔吐が主となります。抗菌薬治療がこんなに発達した現在においても、発症した場合は後遺症を残したり、あるいは死に至ることもあります。中央アフリカには「髄膜炎ベルト」と呼ばれるこの病気の多発地帯があります。また、先進国でも散発的に発生しており、この病気に対するワクチンが定期接種されている国もあります。2011 年には、日本でも高校の学生寮で集団発生し、死亡例も出ています。

病原体:髄膜炎菌

潜伏期間:主に 4 日以内(1-10 日)。

感染経路(発生時期):飛沫感染。家庭内や幼稚園、保育所での接触も感染の高リスクとなります。また、無脾症や補体欠損など、免疫系の持病がある人は発症のリスクが高くなります。

症状 発熱、頭痛、意識障害、出血斑が生じ、死に至ることもあります。致死率は約10%、命を取り留めても10~20%の人に聴覚障害、体の麻痺やてんかんなどの後遺症が残るとされています。

好発年齢3-5か月と16 歳以上の2 つのピークがあります。

診断法:髄液や血液の細菌培養検査によって診断されます。

治療法:抗菌薬を十分量かつ十分期間投与します。他の細菌性髄膜炎の時と同様、入院での注意深い全身状態の管理のもと、点滴による投与が必要です。診断がつき次第、あるいは疑いが生じた時点で早急に抗菌薬の投与を開始する必要があります。

予防法:この病気の患者と、家庭内や保育所、幼稚園で密に接触していた人、キス、歯ブラシや食事用具の共用による唾液の接触、あるいは同じ住居で寝食をともにした人は、患者が診断を受けた24 時間以内に抗菌薬の予防投与を受けるべきです。

また、海外、特に中央アフリカに渡航する人は、事前にワクチンによる予防を行うことが望ましいです。これまで輸入ワクチンを使用するしかなかったのですが、2015年5月にやっと国内での製造・販売が承認され、必要時には以前よりも接種しやすくなりました。但し任意接種です。

  登校(園)基準:有効な治療開始後 24 時間を経過するまでは隔離が必要です。病状により学校医その他の医師におい

  て感染のおそれがないと認められるまで出席停止です。